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日本感染管理ベストプラクティス “Saizen” 研究会 代表世話人
京都府保健環境研究所 所長 藤田直久 |
感染管理の目的は、医療施設あるいは介護施設にいるすべての人(職員も患者も入所者も)を無用な感染から守ることです。さらに、「感染症を発症させない」と「感染を拡げない」という二つの明確な目標があります。この目的や目標のために実施される感染対策手技は、適切な時期に、適切な方法で実行されなければ、その効果を上げることはできません。すなわち、実施される手順が正しくなければいけないことになります。
標準予防策や感染経路別対策の知識はあるが、その実践は決して容易なことではありません。なぜなら、皆さん方がご存じのガイドラインは、あくまでガイドラインであり、マニュアル(標準作業手順書)ではないため、きめ細かい手順と重要なポイントなどは、記載されていません。その結果、同じガイドラインを参考に作成されたマニュアルであっても、手順は異なるという事態が発生します。 日本感染管理ベストプラクティス“Saizen”研究会では、これら現場で行われている実際の手順を図式化し、危害リストを作成し、だれもが同じ手順でできるようにし、感染管理の精度を上げようと試みています。感染により発生する負の部分をできるだけなくし、最終的には「安全安心の医療」を提供できることが、最終目標となります。そのゴールに向けて、日常の業務をひとつひとつ整理し、マニュアルを作成してゆきます。
非常に地道な作業であり、大変な仕事ですが、 この研究会では、同じ悩み、同じ目的を持った医療従事者が集まっています。一緒に作業を行ってゆく中で、いろんな新たな発見があるかと思います。 本研究会に参加された方々が、ご自身の職場で感染管理におけるベストプラクティスを実践され、その結果多くの方々が無用な感染から守られることを強く願います。