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感染管理におけるベストプラクティスの考え方



SARS、鳥インフルエンザ、ノロウイルスなどと、世界的に脅威なものから日常的に経験する様々な感染症について、新聞紙上をはじめマスコミでの話題は尽きず、もはや感染症の問題は特別な領域の話題ではなく広く一般市民も巻き込んだ関心事項である。

現在の医療機関、介護施設およびホームケア施設などで発生する感染は医療関連感染と呼ばれ、施設を利用する方々に対して発生させてはならないし、また伝播させることはあってはならない。しかしながら、過去の文献を紐解くと残念ながら医療の“驕り(?)”が原因で発生した感染症や、医療従事者の“ヒューマンエラー”が原因で伝播したことを認めざるおえない事象が数多く存在する歴史を、実践現場で働く医療従事者はいつの時代も忘れてはならない。

それでは何故このような過去の歴史を学ぶことなく、医療従事者は同じような事象を繰り返すのであろうか?もちろん微生物が時代と共に変化し従来の方法では撲滅できなくなっていることも大きな原因ではあるが、医療従事者のヒ ューマンエラーが原因であるならば、臨床実践現場の努力により少なくするこ とは可能ではないだろうか?もちろん医療の第一線に立つ医療従事者は常にこのようなことを考え、質の高い医療環境の提供を心がけているのであるが、残念ながら色々な人間が介在する以上“心がけ”だけでは限界があるのである。また、現在の高度先進医療であっても、全てがオートマチック化しているわけではなく、悲しいことに人間の手を介して行なうことが実践現場ではまだまだ沢山存在しており、それに伴うヒューマンエラーが必ず存在するのである。 本来このような過程によるヒューマンエラーをなくすために施設内ではマニュアルが存在するのであるが、実際のマニュアルはそのまま使用できる部分もあるが、得てして実践現場ではそのまま使う時に実際どうすればよいのかなどの詳細が示されずに、現場の医療従事者の判断にまかせている部分を多く含んでいる。また、病院内でも各部門においてハード面、ソフト面が異なることからマクロ的なマニュアルでは使えないケースも散見される。これに対応するには マニュアルから逸脱することのない実践現場に即した詳細な手順書が是非とも必要である。

例えば、フォーリーカテーテル関連尿路感染予防マニュアルで『排尿バッグの尿は定期的に捨てる』と記載されていれば、スタッフが同じ手順で 排尿バックから尿を集め、搬送し、蓄尿瓶を洗浄していると思いがちだが、実際にはこの記載した手順も手の衛生のタイミングや、排尿バックの取扱い、搬 送中の注意点、蓄尿瓶の洗い方および保管方法など詳細に検討すれば、人間の手を介している以上色々と感染対策上問題があることが理解できる。つまり、このような一連の詳細な手順を全てのスタッフが同じように実施しているのかが、現在のマニュアルでは不十分であり問題である。

また、前述した詳細な手順を教育しても遵守しなければ何の意味もなさないことは周知の事実である。しかしながら、実際の現場ではマニュアルの教育を 一度行えばその通りに実践しているだろうという性善説の基で実践しているこ とから実際の遵守率調査は行われていないのが現状である。人間はエラーをすることを前提に考え、あるいは、一度教えたことを忘れるということも踏まえ 単なるマニュアルの教育だけでは精度高く実践ができない問題がある。 さらに、実際のマニュアルは、文字だけの表現が多くあり、実践現場での使用 にあたり“誰でも簡単に使用できる”という概念からは程遠いものとなってい ることも問題である。さらに、マニュアルは常に改訂が必要であるにもかかわ らず数年前に作成したものが実践現場で存在している現状は医療の質改善という点からは非常に大きな問題として捉えなければならない。

そこで、実践現場でのマニュアルの問題点解決として私達は“ベストプラクティス”という手法をもちいて、それぞれ背景の異なる医療現場に対応している。ベストプラクティスとは『問題解決のための優れた実践例』と紹介されている書籍もあるが、私達は『実践現場での最善策』という意味で使用している。 近年様々な感染対策の書籍が販売され、感染対策のエビデンスが多く示され“こうあらねばならない”と言うような論調で支配されると、実践現場では知識と情報のある医療従事者が精神的に板挟み状態になり大きなストレスを生んでいるのも事実である。

そこで、私達は組織への不満ばかりで行動を起さないのではなく、与えられた医療環境でできる感染対策における実践現場の最善策に取り組むことで少しでも医療の質の改善を目指そうというものがベストプラクティスの考え方なのである。日々様々な臨床実践現場の過程は実に多種多様であるが、どのような内容であってもその過程の検証を行い感染対策の科学的根拠を逸脱することなく手順を作成し、全ての医療従事者がそれを遵守することで感染率低減の目的を達成することが極めて重要なのである。詳細は当研究会の今までに作成された冊子や研究会の資料などをご覧いただきたい。

 
特定非営利活動法人 日本感染管理支援協会 土井英史
   

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